Archive for October 2006

31 October

心ある人2〜殺され方にこだわる理由〜



少し前に某サイトで非常に問題になった写真があります。中国からのもので、ハイヒールを履いた、結構可愛らしいお嬢さんが子猫を大事そうに抱いて現れるのですが、突然それを踏み殺すという衝撃的なものです。僕はうかつにも見てしまい、非常にショックでした。
その後、この写真は世界中に流れ、大きな問題となったために、中国政府もほってはおけず、国家の威信をかけて、大々的に犯人探しを展開した、という話を聞きました。

が、一方で、中国の毛皮の生産現場では、ウサギ、タヌキ(ハクビシン)、猫等を、生きたまま吊るして生皮を剥いでいます。これも不覚にも僕はビデオを見てしまいました。

少し前、今シーズンのOGLALAの爪のシリーズの紹介の際、ウチは爪モノはよく出所の分からない所では購入していないので、常時供給が出来ない事を説明しました。
爪ものは、ともかく良く売れるので、取扱店としては常時欲しい商品ではないかと思うのですが、みなさん事情を話すと、よく理解して頂いて、快くお待ち下さっています。

僕は、お客様に商品を提供する身として、使用する動物のパーツが、どのようにして死んだのかには、やはりこだわります。

ちなみに、「いや、これはアメリカ製。アメリカのウサギだから大丈夫」と思われる方も多いと思うし、アメリカのクラフトショップからウサギ等のパーツを仕入れている方も多いと思いますが、それはほぼ、中国からの輸入です。

そうやって事実を知って行くと、信用出来るハンターを見つけるしか無いんですよね。アメリカのハンターでも、日本のハンターでも、皮だけとって、あとは放置する人が居るのも事実なんです。ミクシの銃のコミュニティーなんかでも、クロクマをアメリカまで撃ちに行って、皮だけ剥いで、あとは放置して帰って来た事を自慢している日本のハンターも居ました。

毛皮を着るなとは言わない。人間は生態系の頂点に立つ存在として、殺さなければいけない動物もあります。そこで生まれる副産物を出来るだけ利用してやる事も供養だと思います。

こうやって書くと、僕が革の出所やなんやにこだわる理由、それほどマニアックではないでしょう?(笑)
かえって、真剣に考えたら、当然行き着く一つの場所だと思うんですよ。


配偶者のご両親から、偶然に角酒を頂きました。なんてすごいタイミング!丁度熊に捧げる酒を買おうと思っていたところだったんですよ!やはり、この熊、本当に神様に望まれてウチに来るんですね。






14:10:26 | hilo | No comments |

30 October

心ある人



今年は熊が里に出る事件の件数が前代未聞だそうだ。タツさんのミクシでの日記を読んでいると、熊猟師として痛々しい程、その事を気に病んでられるのが分かる。

勘違いされている方も多いと思うが、彼らのほとんどは、「捕れたらいい」という考えでは無い。アイヌ最後の熊猟師と言われた姉崎等さんも、熊の生息環境の悪化を非常に危惧しておられる。熊の生態に精通している点では、学者など、彼らの足下にも及ばない。姉崎さんは「熊の気持ちが分からないと、熊は捕れない」また、「熊が私に山のすべてを教えてくれた」とおっしゃっている。
昨日、タツさんのブログ「達也の日記」の過去ログの猟期のもの(11月から2月のもの)をじっくりと読んでみたのだが、言葉は違っても、姉崎さんとまったく同じ事を示唆されている。そこには生の声が溢れていて、非常に感銘を受けた。

さて、熊の、里への出没がマスコミによって大々的に取り上げられた一昨年と違い、今年は(僕がテレビをまったく見ないせいもあるかもしれないんだけど)同様のニュースをあまり聞かない様に思う。そして、そこにはどうも、各方面の色々な思惑もあるらしい。中には観光業への影響を懸念する動きもあるだろう。でも、夜に出歩く等、危険な動きをしない限り、里山に降りて来た熊によって観光客が被害を受けるという事はまず無いと思われるが。

その辺りの記事を色々と検索していて、こういう記述に行き当たった。
日本熊森協会ウェブサイト「石川県にクマ捕殺のとんでもない実態を訴え〜クマを悪者に仕立て上げた猟友会による乱獲が捕殺暴走の実態〜」
石川県の猟友会の一部が、「駆除」と称して熊を乱獲しており、それを全国の他の猟友会会員が告発しているというものだ。マスコミや行政は熊の肉をもらって口を塞がれているとの事なのだが。
果たして熊の肉ぐらいで口が塞げるのか等、記事の信憑性には疑問もあるのだが、実際に熊は利益の大きい動物らしい。各パーツは、インディアン達にとってのバッファローと同じく、捨てる部分など、何一つ無かったそうだ。
そこで実際には駆除以上の事を行って、利益を得ている心ない人も居るかもしれない。ただ、この記事がすべて事実と仮定して、猟友会の一部の不正を、告発したのもまた、猟友会のメンバーである。猟友会=悪という構図を作りたがる人達は多いので、ここは特記しておきたい。

僕は今回の熊プロジェクトが終わったら、自分で使う鹿革は全て自分で鞣す事が出来ればいいと考えている。そこで、色々と聞いて回って、狩猟後の鹿の生皮を分けてもらえる先をあたっている。鹿の皮は結構肉から剥ぐのが大変らしく、ナイフで乱暴に削ぎ落として行き、完全に奇麗な皮で剥ぐのは面倒なのだそうだ。また、アチレアの斉藤さんによると日本の鹿、ニホンジカの属するアカシカ(Stag)は皮ー10月26日の僕の日記の図の、FIBER NETWORK層ーが薄く、バックスキンの鞣しには向いていないそうだ(アチレア・ウェブサイト内「タヌキの皮なめし」参照)。が、中には丁寧に皮を剥いで、希望者に譲っている方もいらしゃるらしいし、小物主体の僕の製作物なら、革の真ん中に鞣しで穴を開けてしまっても、それほど困る話では無い。

しかし、そういった方が、人間的に信じられる人か、となると話は別だ。中には上で書いた様な人が居るかもしれない。
こういうのって、運なんだろうと思うんだけど、心ある人々と出会えたら良いのだが。


庭にタープ(360×380×H220cm)を張った。基本的には、この中での作業になる。



昨日は久々にテレビを見ながら焼き肉をした。真央ちゃん可愛い、舞ちゃん可愛い、ミキティー可愛い、言ってたら、「ヒロ、オヤジの顔してるよ」言われた。




15:36:14 | hilo | 1 comment |

28 October

バッタの如し



昨日の日記で触れたBruce Rittelさんから直々に、非常に丁寧な秋熊の鞣し方を教えてもらった。
秋熊は、ともかく脂肪が厚くて、毛は抜け替わる途中で、ただひたすら難しいイメージしか持っていなかったんだけど、ブルースさん曰く、「逆。簡単。脂肪は厚いけど、取り除けばいいんだよ。その分皮膚が非常に薄いから、鞣し液が浸透しやすくて、結果的にはいいんだ。確かに冬グマの方が毛皮的には無比の温かさで上質だけど、経年変化後の脱毛という点で考えると秋グマが有利だね」との事。
で、その上で、自分の所の商品の宣伝になるんだけど、でも非常に丁寧にそれぞれに含まれている物質と、化学変化等を教えてくれて、なるほど、だから効くのか。。。と非常に納得出来た。

正直、対・個人に対してボスが直々に、ここまで丁寧にメイル書いてくれる事自体が驚きだ。
その上、「ちょっとでも困った事があったら、すぐに私に相談するように」とのアドバイスだよ。。。く〜、泣かせるねえ。。。リッテルさん。。。。分かりましたよ。買いますよ。あなたのアドバイス品。。。。また泣かせる事に、意外にムチャクチャ安くて、しかも「これは日本でも手に入るだろうから、ドラッグストアに行きなさい。。。」等。結果的に送料の方が高くつく位。


僕も隠せないタチだから、他の職業細工師に迷惑かけない程度に、結構丁寧にアドバイスする方だし、商売的でない部分もあるけど、彼はすごいや。

あ、言っときますけど、礼儀正しく無い人とか、失礼な人には僕はアドバイスなんかしませんよ。
だいたいね、僕が作ったものを、写真ででもまともに見た事すらないくせに、アドバイス求める方がおかしいんですよ。
やっぱね、心から、「すごいな〜」って思ってじゃないと、僕だったらアドバイスなんて求めれないですよ。でないと、例え相手がアドバイスくれても、心に響かないでしょう?相手に時間をかけさせるのに、失礼ですよ!
だから、僕の商品、ちゃんと見ていない人なんかにアドバイスなんかしても、こっちは時間の無駄なんですよ。僕はいつでも真剣なんだから!キチンとアドバイスを求められたら、何冊も本を読んで、自分でもやってみて、本当にもの凄く時間をかけてアドバイスしてるんだから!
分かりましたか!?OOOさんにXXXさんにQQさんに、それから、、、、、、 そういう人は、もう僕の日記を見もしてないだろうけど。

話がすごく脱線して、不満の大爆発になりましたが(笑)、彼の姿勢、共感出来ます。また一人、尊敬出来る人が現れました。

もう、最近、尊敬出来る人だらけで、あ〜あ、俺、腰が低くなる一方だよ。。。
バッタの様におじぎしてます。







11:49:23 | hilo | No comments |

27 October

RITTEL'S TANNING SUPPLIES



すごくいい人なんだけど、いつもネガティブに物事を考えるタンナー(鞣し職人)から、「もしあなたがこのプロジェクトを成功させたいのなら、脳漿やミョウバンはあきらめさい」というアドバイスが来た。かわりに勧めているのが、アメリカで剥製材料なんかで有名な店の鞣し材料。(多分居ないと思うけど、もしかしたらこの情報が役に立つ事もあるかもしれないのでアドレス載せておきます。RITTEL'S TANNING SUPPLIES
早速インストラクションをダウンロードして検討してみたんだけど、なるほど、多分これをやれば素人の僕でも簡単なんだろうなとは思うんだけど、やってみたい!っていうトキメキが無いんですよね。今まで、それで突き動かされて来たもんだから、ここで安全なところに着地するのもシャクでね。
実はバックスキンにするのなら、簡単らしいんですよ。要は、バクテリアが繁殖して、毛が抜けてしまうのを防がなければならないんですよ。毛を定着させるのがともかく難しいらしい。成功した様に見えても、師匠(ディキシーさん)曰く、本当の結果が分かるのは3年後だそうで。。。

あと、初秋の熊で大変なのは油脂のすごさだそうで、結局これを落とさない事には鞣し液が浸透してくれないんですよね。それで色々と中性洗剤なんかを試しているんですが、アメリカのタンナーが失敗してるのは、ここでヤケになって強烈な洗剤を使ってしまうからではないのかな。。。ほら、日本のに比べて、アメリカのってすごそうでしょ?手荒れが(笑)。
アチレアの斉藤さんから、「洗剤は使わないで、出来るだけスクレイパーで落とした方がいい」ってアドバイスを頂いているし、僕もこの、脂落しが天王山になりそうだな。



昨日昼間、配偶者は不在。
「・・・・・・・・だからね!」
「はあはあ、わかった」
生返事したけど、飯を置いておくとか、そんなことだったな。
冷蔵庫を開けてみる。なになに?・・・・・・・
「よかったら食べて」
「よかったら食べて」
「牛丼」
・・・・・か。了解りょうかい。ありがとさん。・・・・ん?
サラダの皿に、「よかったら食べて」を消して「食べなさい」と書いてある。
ちょっと受けた。







15:33:08 | hilo | 2 comments |

26 October

皮の構造



写真を沢山載せているので、画像容量がいっぱいになってきました。そこで過去の日記から、写真を削除していこうと思います。写真、何故か人気があるので、もし必要な方いらっしゃったら、早めにダウンロードしといて下さいね。

前に書いた、ロッキー山脈の麓の友人からの”友情のスクレイパー”が、昨日届いた。
お礼かたがたメールしたら、「おお、はやかったな!さて、これでヒロも選択肢が増えたな。一つが駄目なら、他があるってことだよ。あ、針はフレームに革を張るのに便利だから。それから・・・・」と丁寧なアドバイスをくれた。




何故かウチの商品をブックマークにしてくれた。

僕の行動理念(?)は、
「得たものは、分配、共有すべし」
てことなのらしいし(笑)、熊の鞣し話、結構楽しみにしてくれている人も多いので、ちょっとこれから得られた知識を簡単に紹介して、共有出来れば、と思います。きっとこれから僕の後を追っかける細工師の人も出てくると思うので、参考になれば、と思います。ただし、僕自身、まだ鞣した事が一度も無いので、手探りで勉強していってる次元です。友人の話をそのまま転載していったりもします。当然僕の勘違い等もありますので、どうかそれをお忘れなく。転載時、また、何か自分で始める時には、考証をお忘れなく。また、もしエキスパートの方、見てらっしゃったら、間違い等ありましたら正して頂けると嬉しいです。

では今日は、皮(獣皮)の構造の解説。

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「皮の構造」

〜図はSteven Edholm & Tamara Wilder 「BUCKSKIN ~ The Ancient Art Of Braintanning」より転載、参考文献等は、同書及びアチレア・ウェブサイト内「タヌキの皮なめし」、及び図解解剖学事典等〜



図の通り、皮は4層に分かれています。
外から見て(図で言えば上から)一層目はEPIDRMIS(表皮)、次ぎがGRAIN(吟面ー所謂表革部分)、次ぎがFIBER NETWORK(バックスキン部分)、一番下、肉面に接するのが、MEMBRANE(結合組織)です。
所謂表革というのは、EPIDERMISを剥がして、GRAINからFIBER NETWORKまでを使用します。ビーズ細工等で主に用いられるバックスキンは、このFIBER NETWORK部分を使用します。MAMBRANEはいずれの場合にも不要で、鞣し作業には非常に邪魔になります。というのも、非常に組織が密で、鞣し材が皮に浸透するのを妨害するからです。よって、鞣しの際には、鞣し材を浸ける前に取り除きます。
あ、ちなみに、「鞣す」というのは、基本的に、「皮」を柔らかくして、「革」にすることです。

脳漿鞣しには沢山やり方がありますが、主なものはドライスクレイプ技法とウェットスクレイプ技法です。図の様に、ウェット技法はドライ技法よりも革の浅い面(GRAIN寄り)を削ぎますが、ドライ技法はより深い面(FIBER NETWORK寄り)を削ぐテクニックです。ちなみに、毛皮に仕上げる場合は当然GRAINを削りません。裏面のMAMBRANEと脂肪等を取り除くだけです。

次回は、何故ドライと呼ばれ、ウェットと呼ばれるのか、また、各テクニックの利点と短所を解説します。

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今日は朝のうち、ゴミを出しに行った時、非常に奇麗に晴れていた。



配偶者が扉を開けっ放しにしていたら、三毛が家を覗き込んでいたらしい。
アイ ライク ミケニャン。







16:35:09 | hilo | 28 comments |